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女性の手から生まれる文字

中村 彩


お家の玄関まわりで、住む人の個性をもっとも表現することのできるアイテム、そのひとつは[表札]です。
それは、エントランスのアクセサリーとしてだけではなく、その建物の記念碑でもあり、家族のアイデンティティーを示すロゴマークでもあります。
みなさまがこだわりを持って選ぶ「我が家のシンボル」。
昨今では、様々な素材・デザインの表札がたくさん販売されていて、一体どれを選べばいいのか目移りするほどだと思いますが、ここでは私たちnidoが作る表札(T-moji 01T-moji 02 )をご紹介しながら、表札選びの楽しみについてひとつ、ご提案をさせて頂きたいと思います。

●商品が生み出される瞬間

私たちnidoは、鳥取県で活動している女性3人のユニットです。
実際に自分たちが「欲しい」と思うもの、「伝えたい・残したい」と思うことを、企画デザインし、形にしています。

「表札」で私たちが表現したかったことのひとつに、「手書き文字のあたたかさ」がありました。
パソコンで打ち出すことのできる書体は、美しくバランスの整ったデザインではあるけれど、どこか画一的な既視感があるようにも感じます。
例え「中村さん」が全国に何万人いようと、「中村彩」という「私」は、この世にただ一人。そのアイデンティティーを表現する時に、量産化されたフォントではなく、「私だけの形」を使って「私のしるし」を示したい。
そんな想いで、社内デザイナーがご注文を受けてからひとつひとつ手書き文字で表札をデザインする「なのりシリーズ」を立ち上げました。

●手間ひまかける。想いを乗せる。

お客様からのご注文をお受けしたデザイナーが、1点1点、心を込めてお名前を手書きいたします。
女性の手から生まれる優しい線、ゆったりと穏やかな形、を意識してお名前を綴ります。
「効率化」が最優先されることの多いもの作りの世界ですが、この、文字に想いを込める大切な行程は妥協せず、手間を惜しまず、丁寧に文字と向き合います。


自分の名前は、今まで数えきれないほど自分で書いてきたし、パソコン書体でも見慣れている文字だけれど、いつか誰かがくれた手紙の宛名に、自分の名前が丁寧に書いてあるのを見たとき、何だか新鮮な気持ちがしたり、心が温かくなったりしたことはありませんか?
「ことばに魂が宿る」という意味の「言霊(ことだま)」という言葉があるように、きっと文字にも魂が宿るのではないかと思ったりしています。

女性たちが、家族のために美味しいものを作ったり、優しく子どもを抱き寄せたり、刺繍や編み物をしたり、自然に何かを生み出すその掌で、自然と生み出された心地よい形。
それは完璧ではない、どこかほんの少し隙があって、アンバランスなところがあるかもしれませんが、その“ゆらぎ”こそが、人にとっての“安心感”に繋がるところなのかもしれないと感じています。

“なんだか分からないけど、なんとなく気持ちいいな…”と感じる「文字」で表札を選んでみる、というのも、ひとつの表札の選び方。
相性の良い、永く付き合える文字と出会えると素敵ですね。

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